4.連帯保証人について

(1) 連帯保証の意味
 
今の時代はご存じの方も多いと思いますが、連帯保証人は借主と全く同じ責任があり 、借主が返済できなければ直ちに連帯保証人自身が支払うことを要求されます。
連帯保証人が複数いても、債権者はその誰にでも貸金残額の全てを請求することができます。

(2) 保証能力の無い人
 
 不動産や預貯金が無い人(自己名義なし)は、借金の保証弁済をしなくてもいいということでは ありませんが、弁済しようにも困難な場合が多く、お金を貸した債権者も困ることになります。
給料の差押えは、社会保険と税金差し引き後の給料の 1/4までが原則ですが、44万円を超える部分は、その全額が差押え対象です・・・ 民事執行法
     (2社以上の差押さえは、その範囲内で比例的に分け合う)
  また、年金・恩給・失業保険等の差押えは禁止されています。
日本国憲法25条の「生存権」 (どんな債務者でも連帯保証人でも)
すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を
有する。
金融庁通達「貸金業規制ガイドライン」
 暴力的な態度や厳しい催促の禁止、また朝8時から夜9時までの
催促時間規制など ・・・

(3) 保証限度の見直し (自社借入れの連帯保証を含む)
 
「名前だけだから…」とか「絶対に迷惑をかけないから…」と言われて身内や親友の保証をしてしまうケースがあると思います。保証人にならないことに越したことは ないのですが、ここで自分の保証限度を考えてみましょう。

競売直前の名義変更や売買は、「詐害行為」として無効取消しがありますので問題が起きる前の平時から考えておきます。
配偶者にマイホームは残したいと思う方は、保証範囲から除きます。
 
* そして戸籍上20年以上を共にした配偶者へのマイホーム(土地・建物)の贈与は、 市町村の固定資産評価や税務署路線価を基にした評価額で 2,110万円までのは贈与税がかからず、超えた部分が課税対象です。
* 戸籍上20年未満の方は、贈与税の負担軽減を考えて一度に贈与せず年度を分けて贈与することも検討します。
色々な事情から子供に多少の財産を残してあげたいと思う方は、その部分を保証範囲から除きます。
 
* 平成15年改正の相続時精算課税の適用により、 2,500万円(住宅取得資金は3,500万円)までは贈与税がかからず、超えた部分に対して20%が納税となります。
     なお、財産の種類、回数、金額は自由です。
  (注)65歳以上の親から 20歳以上の子への贈与です。
    (住宅取得資金の贈与は、親の年齢が65歳未満でも適用)
* 上記で年齢条件が合わない場合一般の贈与で行い、税負担軽減を考えて年度を分けて贈与することも検討します。
(参)
贈与金額
 
贈与税
 
300万円
19万円
 
500万円
53万円

(4) 自宅担保の対策
 
 
先ず、債権者と任意売却交渉
  知人等に自宅の購入を依頼できるかどうか?

次に、民法378条の「抵当権のてき除」
(てき除とは、抵当権を洗い除き消滅させる手続き)
 てき除するには、目的物(土地・建物)の相場である実勢価格の現金が
必要です。
* 現在の相場である実勢価格と抵当権を考慮して、第3者などに抵当権付きで売却するので超低価格となります。
* 購入した第3者は、抵当権付きで所有権移転登記。
* 購入者は、現在の相場である実勢価格を「抵当権のてき除金額」として抵当権者である債権者に「てき除通知」を内容証明郵便で発送。
* 債権者は、抵当権の効力がある1ヵ月以内に承諾するか拒絶するかの選択をし、拒絶する場合は、「てき除金額の1割増し」の保証金を裁判所に出して増加競売の申立てをします。
* てき除で抵当権が消滅しても、債務の全部が消えるわけではありません。
債権者に残った無担保債権を、債権回収会社(サービサー)に売却してもらうことを依頼します。
最後に、競売
  知人等へ落札依頼が可能かどうか。
  競売直前の名義変更や売買は、「詐害行為」として無効取消しが
あります。

(5) 連帯保証の相続
 
相続では資産だけでなく借金なども相続され、亡くなった人がしていた連帯保証も相続対象です。
そこで、もし資産より借金等が多い場合は死亡した日から3ヵ月以内に家庭裁判所に相続放棄するかどうか相続人全員で協議します。

(6) 金融的には無限責任会社
 
日本の中小企業では、株式会社や有限会社と言っても金融的な実態は有限責任の会社ではなく、社長やその親族が借金の連帯保証をしている限り無限責任の会社と同じです。
    (中小企業への担保融資や保証人融資の見直しを・・・)


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