D.労務相談

. 厚 生 面 で比較的多い相談は?

(9)  残業手当などのQ&A (労務センター、16年4月会報「ゆとり」より)
 
Q1
2時間遅刻した従業員が、2時間残業した時は?
A
 遅刻した時間と残業時間は、相殺できます。
よって、残業2H - 遅刻2H = 残業手当 0 となります。

   * 但し給与規定の定めにより、相殺しないで支給することは自由です。

Q2
 所定労働時間6Hのパートさんが、2H残業した時は割増賃金が必要です ですか?
A
通算労働時間が8Hまでは、割増賃金の必要はありません。

   * 但し給与規定の定めにより、割増支給することは自由です 。

 この例では残業時間が2Hを超えた場合は、その超えた時間が25%の割増賃金が必要です。

Q3
急な休日出勤してもらったので代休を与えたいが?
A
急な休日出勤で代休を与える場合の休日割増は35%です。

 但し、事前に振替休日を本人に通知して、同一週内で振替える休日振替制度を採用する場合は、割増賃金ではなく通常賃金の支給となります。
 なお次週以降に振替えると25%の割増が必要になる場合があります。

   * 但し給与規定の定めにより、割増支給することは自由です 。

  * 事前通知は、休日に出勤する時間前までに通知します。
  * 同一週内とは、一週40時間を越えない計算で振替日を決めます。
     (年間変形、月変形労働時間制は会社ごとに対応)

Q4
 当社は、土曜と日曜日の週休2日制ですが、そのどちらかに出勤した場合には 35%の休日割増が必要ですか?
A
35%の休日割増は週1日の法定休日となり、他の休日割増は25%となります。

 例えば会社で日曜を法定休日と決めた場合は、日曜日の割増が35%で、土曜日の割増は25%となります。

   * 但し給与規定の定めにより、両日とも35%の割増支給することは自由です 。

Q5
年次有給休暇日に急きょ出勤してもらった場合の賃金の割増しは?
A
年次有給休暇は休日でないので、通常賃金の支給となります。

   * 但し給与規定の定めにより、割増支給することは自由です 。

Q6
休日出勤で通常残業(深夜除く)となった場合の割増はどうなりますか?
A
休日割増だけの35%となります。

 但し休日割増35%に、通常残業割増25%は加えませんが、夜10時〜朝5時の深夜残業割増25%は加算します。

Q7
交代勤務制で、もともとの所定労働時間が深夜の者の割増は?
A
夜10時以降〜朝5時までが深夜割増25%となります。

 例えば日中から深夜残業になれば、通常残業割増25%と深夜残業割増25%を加えた50%の割増となります。


(注意) 次のような事例はダメですよ!

1,
例えば遅刻3回(計3H)で1日分の賃金カットはできません。
*
 賃金カットは一回の制裁に対して、一日の平均賃金(3ヵ月の総賃金/総日数)の1/2までの額とされ、 1ヵ月に数回の制裁でも1ヵ月の賃金の1/10が限度とされています。

  例えば一日の平均賃金が1万円なら、1回の制裁につき減給は5,000円(1/2限度)
  また一ヵ月の平均賃金が30万円なら、6回の制裁で減給は30,000円(1/10限度)

2,
15分以内の残業時間の端数は、毎日切捨てはできません。
*
1ヵ月の残業時間を合計して、その端数となる15分の切捨ては可。

3,
名ばかりの管理者にして残業代を払わないのはダメです。
*
 管理職かどうかの実態判定は、経営者と一体となって事業経営に当たる者で、例えば店長、工場長、部長などが該当します。

 労基法では、「管理職については、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用しない」と定められていますので、一般の残業割増 25%はありませんが、夜10以降〜朝5時までの深夜割増賃金25%の適用はあります。

4,
完全歩合給を採用した場合で、売上ゼロの時に給料もゼロはダメです。
                             
(外部委託制を除く)
*
最低賃金法の規定から、月給制及び日給制または時間給制で比較検討。
 
   →福島県の最低賃金  /  →最低賃金の計算法


(10) 従業員の退職金準備は〜 (中退金)
 
イ 国 の 制 度 「中小企業退職金共済法」という法律に基づいています。
ロ 加 入 会 社 業種により異なりますが、ほとんどの中小企業は入れます。
(従業員数が300〜50名以下または資本金が3億〜5千万以下)
ハ 加入従業員の注意点
 
*

個人企業で事業主とその配偶者は加入できません。
但し、配偶者以外の同居親族で、一般従業員と同様の扱いならOK !
(尚、青色専従者の掛け金は経費になりません。)

* 会社の役員も原則として加入できません。
但し、使用人兼務役員は加入できます。
   また使用人から役員に昇格した場合は、使用人兼務役員なら加入継続ができますが、それ以外は使用人退職の扱いになります。
新 規 助 成  初めて事業所が加入するときに、加入後4ヵ月から掛金の1/2(5,000円限度)一年間、国から助成されます。
増 額 助 成  掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額する場合にその増差額の1/3を増額月から一年間、国が助成します。
へ 規定ひな型 中退共だけの退職金規定のひな型あり
ト 税法の扱い
*

掛金は、会社と個人事業で経費となります。

* 任意の解約手当金は一時所得となります。(経費はゼロ扱い)
* 60歳以上・一時金・退職所得
ホ 退職金額表  掛金の種類は5,000円〜30,000円の16種類で、一週間の労働時間が30時間未満のパート等には2,000・3,000・4,000円の種類があります。
 
(14年11月以降の掛金に適用し、予定運用利回りは1%)
基本退職金額表
掛金月額
5,000円
10,000円
20,000円
30,000円
納付年数
 
5年
304,100
608,200
1,216,400
1,824,600
10年
632,800
1,265,600
2,531,200
3,796,800
20年
1,333,300
2,666,600
5,333,200
7,999,800
30年
2,106,550
4,213,100
8,426,200
12,639,300
 
*

1年未満(11ヵ月)は、支給されません。(過去勤務掛金は支給)

* 2年未満(12〜23ヵ月)は、掛金額を下回る支給となります。
* 2年から3年6ヵ月(24〜42ヵ月)は、掛金相当分の支給となります。
* 3年7ヵ月以上は、掛金に運用利息が加算されます。
 

■ お申し込みは、各商工会議所・中小企業相談所、郡山はTEL921-2621


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