D.労務相談

4. 厚 生 面 で比較的多い相談は?

(1) 社会保険料の負担はどのぐらいなの?
 
 適用事業所は、全ての法人と個人経営で常時従業員が5名以上の事業所
です。  (個人経営で5人未満でも任意加入できます。)
 
保険料の負担は 、24年3月分からは給料と年3回までの賞与の約 28%
(介護保険該当の場合)で、会社と個人で各々1/2を負担します。
                                 (なお、年4回以上の賞与はその全ての賞与が報酬月額に含まれます)
(例) 40歳以上の例で、会社と個人の負担合計 (負担は、各々が1/2ずつ)
                                 24年3月分〜
月 額 給 料
30万円
40万円
50万円
月額保険料

83,766

114,480 139,610
年 間 計

1,005,192

1,373,760 1,675,320
    

(2) 傷病手当金・その他   
 
被保険者が病気や 業務中以外のけがで連続3日以上働けず、収入が減少した場合で、
 4日目から働くことができない期間中(1年6ヵ月限度)に、一日につき
 標準報酬日額の2/3相当額が支給されます。
 尚、休業中の給料が支払われた場合は、その支給額が傷病手当金より少ないときに限り、その差額が傷病手当金として支給されます。

参-1 70歳未満の高額医療費の自己負担額は、月給が515,000円未満  
    (社保月額53万未満)は80,100円/月を基本とし・・・

    
  月給が515,000円以上(社保月額53万以上)の場合は150,000円を
    
  基本として負担額が計算されます。

     なお療養月以前12ヵ月に3回以上の高額医療に該当した場合は、
     4ヵ月目から上記は各々 44,400円又は 83,400円となります。

参-2 平成19年4月から、高額医療費の限度額適用認定証の交付申請を
    社会保険事務所で行えば、病院窓口では自己負担金の支払いで
    済みます。

参-3 出産一時金は、平成21年10月から 42万円

参-4 出産手当金は、一般的な例としては産前6週間・産後8週間の
    産休中は、一日につき標準報酬日額の2/3相当額が支給されます。
    なお産休中に給与の支払いがある場合は、その給与を控除した額
    となります。

(3) 労働保険の負担はどのぐらい?
 
原則として、4/1〜翌3/31までの従業員給料・賞与総額や元請工事高により算出されます。
(給料賞与は、発生月分で計算し、支払月の計算ではありません)
  例 示 (平成 24年4月〜)
労 災 保 険
建 設 業
製 造 業
その他事業
元請工事額の
0.75%〜8.9%
賃金総額の
0.25%〜2.6%
 清掃業 1.3% 貨物取扱業 0.9%等
 要確認
雇 用 保 険
賃金総額の1.65%
(うち0.6%は従業員負担)
賃金総額の1.55%
(うち0.6%は従業員負担)
賃金総額の1.35%
(うち0.5%は従業員負担)
会社負担計
1.8〜9.95%
1.2%〜3.55%
1.15%〜2.15%
労働保険は労災保険と雇用保険の総称で、労働者を一人でも雇用すれば加入が義務付けられています。

(4) 労災の主な補償給付を教えて〜
 
イ 療養給付 業務中のケガ等による医療費などの給付です。

 なお業務中の交通事故によるケガで、相手の自賠責保険を使用
(参考) 障害の場合は、被害者1人につき120万円
      * 治療費は、原則として実費支給
      * 休業分は、1日につき5,700円〜19,000円限度
      * 慰謝料は、1日につき4,200円     (実額支給)

           死亡の場合は、被害者1人につき3,000万円まで
休業給付 * 休業中に給料が受けられない場合、4日目から支給されます。
 給付基礎日額の8割が支給されます。なお税金はかかりません。
  (本来の6割に労働福祉事業から2割加算)
* 
医師証明書による休業期間の支給制限はありませんが、1年6
 ヵ月経過後に傷病補償年金に該当したときは、休業給付は終了
 となります。
ハ 障害給付

治療しても障害が残った場合の一時金または年金の給付です。

 
年金で給付 重度障害1級〜7級で毎年、日額の313日分〜131日分です。
一時金給付 障害8級〜14級は一時金で503日分〜56日分の給付です。
   尚、労働福祉事業から、別途障害等級により(342万〜8万円)一時金として特別 障害支給金が支給されます。
ニ 遺族給付 労働者が死亡してしまったときの遺族への年金などの給付です。
   300万円の一時金の他に、遺族が1人〜4人以上の区分で 毎年、日額の153日〜245日分の給付です。
  年金前払一時金
遺族年金の前払いを、選択により最大で給付基礎日額の1000日分受けられます。
(年金開始から1年以内の申請で一回限りです。前払金に達するまで年金は停止。)
 
労災適用の労働者には、パート・臨時社員等のすべてが含まれます。
給付基礎日額
原則として 災害発生日の前3ヵ月分の給料総額 / 同日前3ヵ月の総日数
日給・時給は上記の総日数を労働日数として、さらに60%を乗じた金額
(原則計算といずれか高い方)

(5) 労災の特別加入できる?
 
中小企業事業主やその家族従業員及び会社の役員の場合
 
労働者を雇用し労災保険が成立していることと
労災事務を労働保険事務組合に委託していること。
一人親方の場合
 
 一人親方の特別加入の承認を受けている組合に加入すれば親方及びその家族従業員も労働保険に加入できます。
特別加入の保険料負担は〜
 

自分で選択した給付日額 × 365日 × 料率 (0.5%〜12.9%)
  (5,000円〜20,000円)
従事する仕事により、料率が異なります。
 

個人事業主や一人親方分の保険料は、所得税の経費になりません。

(6) パートタイム労働者 (13年4月1日より)
 
次のイとロの両方に該当するときには雇用保険の加入者になります。
一年以上の雇用が見込まれる次のような場合です。
 
期間の定めがなく雇用される場合
期間の定めが3ヵ月や6ヵ月となっているが、雇用契約で更新規定がある場合
一週間の所定労働時間が20時間以上のとき
  (尚、年収90万円以上の要件はなくなりました。)

(7) 扶養にできる範囲を教えて〜
社会保険の場合   
(給与収入+年金収入+農業・事業所得、他)
 
   *
59歳まで 年収130万未満
60歳以上 年収180万未満
 
      例えば、農業者である父又は母が収入から経費を差し引いた所得額と年金収入等の合計額が、上記未満の場合には扶養に該当。
 また、妻または夫が事業所得者で上記未満の所得の場合にも原則として扶養に該当。 
   (社会保険事務所に要確認を・・・・・扶養申請は、確定申告書の写し又は所得証明書添付)
所得税の場合 (合計所得が38万円以下)
 
給与収入は、 総収入 - 控除額 (最低控除額・65万円)
年金収入は、 総収入 - 控除額 (最低控除額
(   〃 

64歳まで  70万円)
65歳以上 120万円)

その他所得   収入 - 経費

(8) 割増賃金の計算は、
 
残業や休日労働の指示や労使の取決めによる
 週一回の休みか4週に4日の休みが確保されていれば、労基法は週休2日制 等の場合にどちらかの休日出勤に対して割増賃金を要求していませんので通常賃金扱いですが、割増賃金でもOK。
 
日給の場合
月給の場合
時間外労働
割 増 賃 金
×1.25×時間外労働時間数
同 左
休 日 労 働
割 増 賃 金
×1.35×休日労働時間数
(法定休日以外は1.25)
同 左
夜10時以降の
深夜労働

割増賃金の
加算額

×0.25×深夜労働時間数
同 左
 
1ヵ月の平均所定労働時間は、 です。


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