【地主さんが自分でできる、相続対策】


3.税負担の軽減を考えれば


(1)感謝や可愛さから、養子縁組すると

1)縁組は、実子が居る場合は一人を、居ない場合は二人までできます。

2)基礎控除額(1,000万円)が増えます。

3)生命保険等と退職金の非課税枠が増えます。(それぞれ@500万円/一人)

   (参)税負担軽減の例示
 

例1

子供だけ3人の相続人から養子縁組により、4人となった場合
 

例2 例1で配偶者と子供2人の場合は、配偶者の取得財産がゼロ〜1/2(1億6千万円下限)により軽減額が変わります。

 

純 資 産
10億
5億
3億
例1 税軽減
▲2,300万円
▲2,100万円
▲1,000万円
例2  〃
▲2,150〜1,075
▲1,150〜575
▲600〜280

 

(2)苦楽を共にした配偶者へ、自宅等を贈与すると

1)相続税評価額で、2,110万円までが無税で、超えた分だけが課税対象です。

2)適用要件として、戸籍上の婚姻期間が20年以上の場合

3)相続開始前3年以内の贈与でも、相続税の加算対象となりません。
      (相続開始と同一年の配偶者贈与は贈与申告となり、相続申告はありません。)

    (参)税負担軽減の例示
 

例1

相続人が子供だけ3人の場合
 

例2 例1で配偶者と子供2人の場合は、配偶者の取得財産がゼロ〜1/2(1億6千万円下限)により軽減額が変わります。


純 資 産
10億
5億
3億
例1 税軽減
▲1,000万円
▲800万円
▲600万円
例2  〃
▲900〜450
▲800〜400
▲700〜475



(3)賃貸業務を教える為、長男等へ賃貸物件の贈与

1)

貸家などの贈与評価は、市町村の固定資産評価額*70%(配偶者等との共有可)

 

2)

長男及び配偶者等の所得となる為、申告必要。 (尚、贈与者は所得が減るので所得税・住民税は減少します。)


(4)生命保険及び損害保険による、納税資金の準備ができれば〜
1)

先ずは終身保険で、非課税枠まで加入を検討します。(500万円×法定相続人)
 

2)

次に相続税の負担ではなく所得税の負担になる加入を考えます。
 イ.長男や配偶者等が、契約者となります。(掛け金負担者)
 ロ.掛け金の支払いは、前記(3)の家賃収入や贈与資金からもできます。    
 ハ.所得税の計算

a. (保険金−掛け金合計)−50万円控除
b. さらに、上記金額×1/2だけ課税対象となり、これに、他の所得を考慮して、税率を掛けます。

 

(5)子供や孫の住宅取得を援助する為、資金の贈与


1)贈与税の例示 (24年から26年)         (参)相続時精算課税
                          
(2,500万円 の贈与)

 
年  分
24年
25年

 26年

贈与非課税額
1,500又は1,000万
1,200又は700万
1,000又は500万
                 省エネと耐震住宅 又は それ以外の住宅

2)  適用要件としては、父母や祖父母など直系尊属から子供や孫へ住宅取得等資金の贈与  (受贈者の所得 金額は2,000万以下)


(6)親名義の土地を子供が使用している場合事前に共有持分で贈与すると

1) 課税される遺産の抑制から、複数の対象者に毎年分け与えられるか検討。(中長期的な軽減は大きくなります。)
 
2) 分筆はしないで、共有の持分登記とします。(手続き費用の負担が軽い)
 
3) デフレ時代の土地の区分けは重要です。
 

イ. 相続税の支払いに充てる土地
ロ. 引続き所有する土地
ハ. 有効活用が可能な土地


(7)収入を増やす為に、賃貸物件を建築等すると

1)先ずは、採算が合うかを考えて、次に相続税負担の軽減を計算します。

2) 建築後の評価は
イ. 貸付用の建物となり、市町村の固定資産評価額の70% (建築費の約50%前後の評価が多いようです)
ロ. 貸家などの土地は、路線価などの更地評価から約9%〜18%の評価減となります。
ハ. 借金が残っていれば、これを相続財産から差し引きます。
 
3) 長男や配偶者等の名義で建築すると、(父親等が土地担保提供)長男などの所得となり、将来の相続税の支払いに備えることができます。



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