【 役員給与の損金不算入、対策について 】
 

        ( 同じ国の施策・?)

        平成18年5月から、資本金1円でも・取締役1人でも株式会社を
        設立することを景気対策から奨励しておいて、その会社を一般
        の会社と違う、「特殊支配同族会社」という差別用語で税法上
        呼んで、同年の4月開始事業年度分から、その社長給与の損金
        不算入規定を設けるとは・・・それでも同じ国の施策?

         また社長の中でも、もっと給料が高い上場会社の社長などは
        損金不算入規定は適用されない・・・同じ社長でも差別される。
         

1. 増税額は、どのくらい? (例) 18年4月開始・19年3月決算から〜
 
* 会社を主宰する社長等の、給料の一部を経費にしない分の税金です。
 
(例)
給料
経費不可
増税額
720万円
192万円
67万円
840万円
204万円
71万円
1200万円
230万円
80万円
           なお税率は法人の所得によりますが、平均値・約35%としました。


2. 基本的な対策
 (1)
社長の給料を下げる場合には、次の検討が必要です。
           (定期同額給与の一年ごとの見直し)
 
生活費などが賄えるかどうか。
会社の決算損益の予定額は、どの位になるか。
社長個人と会社の各々税金予定額は、どの位か。 (税率比較)

(2)

妻や息子などが働いている場合。
その働きから給料見直しは、必要か否か。
後継者として代表主催者への就任時期は、
いつ頃か。なお業務主宰役員とは、代表取締役登記・
代表者自署押印・役員給料が一番多いなど

(3)

会社から社長への家賃等は、近隣相場等から妥当かどうか。

(4)

社長退職金の積立ては、現在の生保等積立額で足りるかどうか検討し、
不足の場合は1/2損金などで補います。

(参) 会社からの配当金は経費にならず、法人税は少なくなりません。


3. 常勤役員の1/2が、他人の場合  (常勤役員給料としての受給者に限る。)
 
  *常勤役員の人数に対して、社長及び親族常勤役員数が1/2以下は、
損金不算入はありません。 (常務というのは日常の業務であり、常勤と同じ)
 
 (1)
人数例としては、1人対1人/2人対2人/3人対3人など
 

2)

幹部や管理職で、役員昇格の時期として妥当か検討します。

* 常務に従事する役員に該当するかどうかは、一般的には専務取締役や
 常務取締役が該当します。

* 使用人兼務役員では、 役員として会社の経営業務(事業計画や人事・
 資金繰りなど会社の重要事項への参画や決定)を日常継続的に遂行し、
 そして役員分の給料が使用人分の給料より高い役員が該当します。
              (総支給の1/2超)


4. 11%の持ち株が、他人の場合
  *持株割合及び議決権が、社長及びその親族が90%未満の場合は、
損金不算入はありません。 (特例有限で10%以上の帳簿閲覧など少数株主権あり)
     
 (1)
社長等親族で持株及び議決権100%の場合は、持ち株を親族以外の知人等へ11%の引き受けが可能か否か・?(議決権のある普通株)
 
(引受例)
同業者又は異業種の知人社長との株式の持ち合い。
  a 業務提携ができるか否か
  b 株主として、総会出席とし議案を決議してもらう。(議事録保存)
親しい知人への贈与または譲渡。
a 社外の立場から、総会出席とし議案を決議してもらう。(議事録保存)
(参-1)

租税回避行為は、通常では有り得ないような異常な取引や不自然・不合理な行為ですが、持ち株の異動は通常ある行為で、役員給与の個別規定(法35・令72・72-2)に照らして判断することになります。
  (参-2)

節税する為に、持ち株を合法的に異動する行為について・・・私見
 
* 節税する事は、事業経営において経済合理性がある事ですから、通常行為が個別規定で合法である場合に、さらに同族会社の行為計算の否認規定(法132)の登場は、その個別規定の存在を無くし、法自体がおかしなものとなります。
* なお個別規定で定められていない事柄や定めが明確でない場合は、同族会社の行為計算の否認規定の登場で、その取引や行為等が判断されます。

(2)

自社株の11%評価額を計算
 
(資本金+累積利益又は▲累積損失)×11%の概算評価の計算へ
  * 資本の部がマイナスになっていれば、通常は株式ゼロ評価
  * 特例有限会社は、資本金300万〜500万円が多い
  * 株式会社は、新・会社法施行の前は資本金1,000万円以上
 
減資する場合----新・会社法では資本金1円など〜
 
1)減資できる会社
  * 対外的な取引において、資本金の額の影響を受けない会社
  * 不動産賃貸業など、業種的に資本金のこだわりが無い会社
  * 銀行借入れ等が無く、自己資本比率の考慮がいらない会社
 
  2)減資の効果
  * 持ち株の評価が下がります。
  * 現在の株主である社長等は、会社から減資額を一括又は分割で
 現金の払い戻しを受けます。

(3)

贈与または売買による持ち株異動
 
贈与は、年間一人につき110万円まで非課税
 
  * 必要書類は、贈与証書取締役会議事録など
 (持ち株異動承認)、贈与税の申告書
 
 
売買は、時価評価額−売買金額<110万円
 
1) 知人ゆえに低額譲渡した場合に、株式時価評価額と譲渡価額の
差額が、110万円以下なら贈与税は非課税です。
 
2) 譲渡価額が当初の出資した株式取得費より低い場合は、儲けが無い
ので譲渡所得はゼロとなり所得税は掛かりません。
 
  * 必要書類は、譲渡契約書取締役会議事録など(持ち株異動承認)
 所得税の確定申告書、贈与税の申告書

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