2.資金繰りの改善を

(1) 収入を図る考え  
 
 社長さんだけで収入を図る対策がまとまらない場合は、複数の人で活路を見いだすまで何回か話し合い、売上・受注作戦を立てます。
      (同業者で上手くいっている実例なども参考にしながら・・・)

 同業者が多いなか次の点で、自社の特徴や独自性をどう出せるか。
 
 
* お客さんの利益になること
* 自社の存在価値
* 高品質な技術・加工の
  提供
* 価格の高低二極化
* スピーディな対応の良さ
* 利便性・楽しさ・健康
* 同業者がやっていない
  こと又は未だ本格化して
  いないこと
* 社員のレベル


 競合する同業者の弱点や欠点を整理し、自社の営業等にどう活かすか。

 お客さんが欲しいサービスや モノを置いてないから売れないので、この問題をクリアし、併せて「お客さんの心の満足は何か」を常に考えて、時代に合った商売を心掛けます。
                    お客さんの意見などを、どれだけ集められるか!

 大手の同業者が、なかなかできないこと(大手と違う土俵で)

   「小さな市場で大きなシェアを目指すことも。」


(2) 支出を下げる工夫
 
金融機関 や仕入先等へ支払い減額等のお願い
   金融機関自体が、不良債権問題や金融庁マニュアル(中小企業別冊
    含む)等で大変な時代ですが、自社を再建する必要性に迫られている
    場合は早めに再建計画書と資金繰り予定表を金融機関へ提出して
    支援をお願いします。

  返済期間延長による元金返済減額などの貸出条件の緩和債権に
  なれば要管理債権となり貸倒引当金の積増しから金融機関に       
  ご迷惑をお掛けしますが・・・
      (熱意あるお願いをしないで、倒産してからでは遅い!)

  再建計画書と資金繰り予定表は、御社と会計事務所等で協議して 、
  作成致します。

  大事なことは、サラ金などに手を出す前に早めに対応し、会社再建の
  タイミングをはずさない
ことです。そして借金月額返済の減額分などで
  何とかご飯が食べていけるうちに会社を立て直すことです。

 主要な仕入先や外注先に、既発生分の現在の買掛金・未払金残高に
  ついて延払いや分割払いをすべきかどうか検討し、資金繰り状況に
  よっては12回〜18回前後の分割払いを粘り強くお願いします。
  なお新規発生の買掛金・未払金は通常サイトでの支払いとなるのが
  一般的です。

           (仕入先・外注先からの借金・・・短期的な支援要請)


国や市町村へのお願いなど
1) 社会保険の節約(滞納を起こす前・・・)
*  社長や奥さん等は、ご自分の社会保険料の負担は1/2ではなく100%負担と考えている方が多くおりますので、ご確認の為に平成 23年3月改正後の年間保険料の負担は次のようになります。 (一旦は下がり将来また上がる予定です。)       (会社と個人負担合計)
 
役員報酬(月額)
20万円
(年収240万円)
30万円
(年収360万円)
50万円
(年収600万円)
100万円
(年収1200万円)
年間保険料   約
(介護保険料含む)
65万円
97万円
162万円
250万円
        
平成23年3月改正後
月給の
約27%
(介護保険含む)
 
*最高限度有り
 
*
 節約方法には、社会保険労務士さん等からのアドバイスを中心として、様々な方法がありますが、その中で次のようなポイントがあります。
 

a   健康保険法を十分検討した方法であること。(ペナルティなど)
 
b   例えば、社会保険に加入したのままを前提とした相応の節約

 なお従業員さんの外注制や委託制により個人事業を選択し、事業所得扱いになれば所得税や市県民税そして国民健康保険の負担も増加します。
 
(従業員さんは、先ず給与所得制の維持を考え、 次に事業所得制を検討します。)
 
c   税務会計上から、適切な処理であること等です。

*** 相談連絡先 ***

社会保険労務士  久井 貴弘  TEL024-927-0805
税  理  士  遠藤 秀雄  TEL024-922-5251


** 既に社会保険料を滞納している場合**
 

 社会保険事務所に再建計画書と資金繰り予定表(御社と会計事務所で作成)を提出して分割払いなどの支援を熱意を持ってお願いします。
 また、先付小切手や支払手形による支払いは、会社再建が軌道に乗るまで資金繰りが安定しませんので控えます。
 それまでは、自社から積極的に話合いの機会を設けて納付します。

2)税金の支払い
 
*
 消費税においては、預かっている税金でありながら年1回や年2回払いなどから毎月の資金繰りではその存在が薄くなり、運転資金として回ってしまうことが多く見られますので、毎月納税を意識した準備が必要です。

 既に滞納している場合は、税務署と誠意をもって話し合い再建計画書と資金繰り予定表(御社と会計事務所で作成)を提出して、毎月分割納付とした計画で支援をお願いします。

*
源泉所得税では年2回払いの納期の特例は止め、毎月納付に切り替えて資金繰りを行うべきでしょう。 また既に滞納している場合は、上記同様です。


役員報酬の減額
   もう既に役員報酬を減額してきて、もうこれ以上は下げられないという方も多いことと思いますが、個人支出でもう一度次の点を再確認しては如何でしょうか。

*
住宅ローンの返済額等の減額
  返済期限の延長や借替えなどを熱意をもってお願いし、何とか毎月の返済額を少なくします。
(金融機関さんごとの様々な融資ローンの確認を〜)

*
生命保険、損害保険  (専門家等が支出削減のアドバイスをします。)
   
 資金繰りが大変な時は、社長さんや家族の保険を掛金の安い保険に切り替えます。
 また、会社の経費になるとかならないとかの問題ではなく、再度見直し
を行った必要保障額を少ない掛金で支払うことが優先され、個人契約
でも良いと思います。

 

a  社長さんの保険は、もう一度必要な死亡保障額と入院給付金を検討し、掛金の安い掛け捨て保険 (定期保険)などに変更します。
 
(注)前払保険料が含まれている為に、解約返戻金がある定期保険は、その分だけ当初の保険料が高くなっています。
 
b  奥さんの保険は、入院給付金やケガ・事故の保障を中心に考えれば、掛金を安くできます。(主契約である病気死亡の保障を下げ ます。)
 
c  子供の保険は、ケガや事故保障に重点を置いた損害保険などへ加入することで 、掛金は非常に安くなります。


*
車のランクを下げる。
   会社再建中は、カッコなどを気にせずに安全性だけを考えて車のランクを下げ毎月のローンや税金・保険などの維持負担を軽くすべきでしょう。
 会社再建の姿勢からもランクを下げなければ、従業員や取引先等が
納得しないことも・・・


仕入れ、外注費の見直し
   先ず、粗利アップの為に仕入れ・外注先を一社ごとに再検討し、可能であれば社長さんから省力化した工法・納品等の提案をして、仕入先や外注先の理解と協力を得て原価コストの低減に結びつけます。

人件費の見直し
 
*
(小企業での留意点)
   大企業などでは人員削減等を中心に会社再建が行なわれますが、小企業の場合は、もともと人数が少ないので従業員さんのやり甲斐に伴なう元気が、 会社再建の鍵となります。
 よって次の点で、皆さんのやる気が失われない ように何回か話合いを重ねる必要があります。

*
社内人件費のままとするか、専属的な外注形式へ移行すべきか?
  (年間稼動日数から、一日単価や時間単価を求めて検討していきます。 )

*
契約社員やパートさんを採用する場合
   パートさんが対応できる仕事とできない仕事を区分けし、正社員でなければならない仕事を再確認します。


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