B.会社で比較的多い相談

1. 社長さんと会社のやりとり(商法265条)

(1) お金の貸し借りがある場合は?
  社長さんが会社に貸す場合は無利息でもかまいませんが、逆に借りるときは会社が金融機関から借りている利率や市場金利で利息を支払います。
  また、同族会社の社長さんやその親族等が会社に貸付けて受取る適正な利息は確定申告が必要です。 (適正利息を超える分は役員報酬となります。)

(2) 土地・建物の賃貸借がある場合は?
  社長さんが会社に「ただ」で貸付けてもかまいませんが、土地の場合は借地権の関係から「土地の無償返還に関する届出書」の提出の有利・不利を検討をします。
  また、同族会社の社長さんやその親族等が会社に貸付けて受取る適正な地代・家賃は確定申告が必要です。 (適正な地代・家賃を超える分は役員報酬となります。)

(3) 土地・建物の売り買いをする場合は?
  付近の相場や現在価値(時価)などの売買であれば問題ありません。
(金額は専門家などに相談も)
  社長が会社に相場(時価)より安く売る場合。
   

時価の1/2以上の売買は、社長の譲渡所得の計算は利益操作に該当する場合を除き問題ありませんが、会社は時価に不足する部分は受贈益として収入計上します。( 土地 / 受贈益 )
(会社が累積赤字などのときは、納税がないことも)
時価の1/2未満の譲渡は、時価により譲渡所得の計算対象となります。
  社長が会社に相場(時価)より高く売る場合。
   

時価を超える部分は役員賞与となり、会社は経費となりません。
尚、社長は給与所得となります。
時価までの分が会社の土地・建物の取得価額となり社長は譲渡所得の収入金額となります。
  会社が社長に相場(時価)より安く売る場合。
   

時価より安い部分が役員賞与となり、会社は経費となりません。 尚、社長は給与所得となります。 ( 役員賞与 / 売却益 )
  会社が社長に相場(時価)より高く売る場合。
   

時価より高い部分が受贈益として、会社は収入となります。 尚、社長は時価で土地・建物を取得したものとされます。

(4)

役員のボーナスは経費にならないの?
  イ 原 則 社長・専務・常務・監査役の賞与は経費になりません。
会社とは経営委任の関係で、その報償として税引き後の利益から役員賞与を支給するものとしています。
  ロ 例 外 使用人兼務役員に該当する場合の使用人分賞与は、経費になります。
     使用人兼務役員に該当するかどうかは、平取締役で常時使用人としての職務に従事し、持株状況も次のいずれかに該当する場合です。
   
a 社長親族等の第1順位の株主グループの持株割合が50%以上でその役員がこれに属さない場合。
b 上記のグループに属するが、その役員の持株割合が5%未満の場合。
  (注)小会社でも上記以外のケースがある場合は、ご確認下さい。

例1 社長の息子さん等でも、上記に該当すれば使用人分賞与は経費になります。
例2 尚、社長の息子さん等で役員でもなく、まだ経営に従事していない場合の使用人分賞与は経費です。
例3 また、社長の配偶者が役員ではなく、社長の指揮監督のもとでの業務指示書などが備付けてあれば、使用人分賞与は経費です。

小会社で対外的なことから、単に名刺上で専務・常務としている場合で持株も5%未満で使用人兼務役員に該当する場合は、使用人分の賞与は経費になります。

(注)

使用人兼務役員の給料は、適正に使用人分と役員分とに分けましょう。 そして、賞与は使用人分給料に基づいた支給とします。

(5) 役員に対する歩合給や残業手当は経費になる?
  歩 合 給 小会社においては役員とはいっても使用人と同様な仕事をした場合使用人と同じ基準で支給される歩合給や出来高給は、経費になります。
   
(注) あくまで個人の実績に基づく支給の場合に限られ、会社全体の業績に基づく出来高給は賞与とされ、経費になりません。
  残業手当 上記 4. の使用人兼務役員に該当する場合で、使用人と同じ基準で支給される残業手当・休日出勤手当ては、経費になります。

(6) 2社以上からの報酬の社会保険は?
  2社以上の会社から報酬を受けている場合は、その2社以上で社会保険に加入していれば、それぞれの報酬を合算して保険料が計算され、それを各々報酬から比例して 控除します。
(社会保険に加入していない会社からの報酬は、合算対象とはなりません。)


見出し項目へ