14.個人事業から会社設立した場合のメリットと欠点

(1) メリット

1)事業所得から給与所得へ
 (事業主さんも給料制となり給与所得控除が受けられます。)

単位:万円

給与の年収

控除額

控除率

差引所得

160

65

40%

95

360

126

35%

234

600

174

29%

426

1,200

230

19%

970


2) 資本金1,000万円未満の設立は、消費税が2期間免除になります。

3)

同一生計の家族役員及び社員への適正な退職金の支給は、経費になります。

4)

同一生計家族からの建物等の賃借家賃等の支払いは、経費になります。

5)

会社契約で会社受取の社長さんの生命・損害保険は、掛け捨て部分の保険料は経費になります。
 
※ 3)〜5) は個人事業では経費にはなりません。

6)

忙しい時期を避けた決算期の選定及びその後の決算期の変更もできます。
※個人事業は1月〜12月

7)

取引上など対外的信用の向上



(2)


欠 点

1) 会社は貸し借り・窮屈?

 会社では、社長さんへの貸し借りは個人事業のように翌年に繰り越さない事業主貸(生活費等)という出金はできず、社長さんへの貸し借りとして残高が把握されます。(仮払の未清算も同様です。)
 このことから社長さんによっては個人時代に何でも事業主貸で処理できたのに比べて、少し窮屈に感じる方もいらっしゃいます。

2)

経理コストがアップ(業務範囲と依頼の仕方により費用は軽減されます。)

 個人時代はご自分で確定申告をしていても、会社の決算書類は経験が無いといきなり作ろうと思っても簡単に作れるものではありません、そのため会計事務所などに申告や月次ごとの経理を委託する場合にはコストアップとなります。


(3)

法人成り計算比較

1) 計算要素

平成18年分、10%定率減税有り(夫・45才、妻・43才)
  扶養2人 (高校1年、中学2年)
1,010千円
  国保・年金、基礎その他控除額
1,370千円
 

計 2,380千円
    妻   基礎控除38万円 
 
複式簿記により、青色申告特別控除額65万円適用
道付県民税と市町村民税の均等割り額は5,000円で計算しております。


2)

事業税の事業主控除は 290万円で、専従者分は控除しますが青色控除分は控除できません。尚、税率は 5%で計算しました。

3)

計算例

イ) 白色申告

事業所得
  6,000 千円
   8,000 千円
  10,000 千円
専従者(妻) うち
   860 千円
   860 千円
   860 千円

所  得  税
    254 千円
    560 千円
    920 千円
住  民  税
177
365
565
事  業  税
148
245
345
国     保
620
620
620
年     金
320
320
320
支 払 合 計
1,519
2,110
2,770


ロ)

青色申告

事業所得
  3,900 千円
   5,000 千円
  6,400 千円
専従者(妻)
  2,100 千円
   3,000 千円
  3,600 千円

所  得  税
   219 千円
   375 千円
   603 千円
住  民  税
125
236
388
事  業  税
83
138
208
国     保
620
620
620
年     金
320
320
320
支 払 合 計
1,367 
1,689 
2,139


ハ)

法人成り

社長 給料
  3,900 千円
   5,040 千円
  6,480 千円
 妻 給料
  2,100 千円
   3,000 千円
  3,600 千円

所  得  税
   100  千円
   239 千円
   380 千円
住  民  税
64
136
223
法人税金均等割
70
70
70
国     保
604
620
620
年     金
320
320
320
支 払 合 計
1,158 
1,385 
1,613 


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